高齢の親を介護していると、
「そろそろ施設を考えたほうがいいのか」
「でも、本人は嫌がるし…」
「費用や手続きはどうなるの?」
といった悩みに直面します。
施設入居の決断は家族にとって大きな出来事であり、感情的な葛藤も伴います。しかし、早めの準備と正しい情報収集が、後悔しない選択につながります。
ここでは、施設入居を検討すべきサイン、入居までの流れ、施設の選び方、そして実際の事例を交えて詳しく解説します。
1. 施設入居を考えるきっかけとサイン
介護の現場では、次のような変化が見られたときに入居を検討し始める方が多いです。
1-1. 日常生活動作(ADL)の低下
例:
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昨日まで一人で入浴できていた母が、「今日は怖くて入れない」と言い出す
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食事を作ることができなくなり、冷蔵庫の中が空っぽ
こうした変化が続くと、自宅生活が難しくなります。
1-2. 認知症の進行
例:
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ガスコンロをつけたまま外出してしまう
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夜中に「会社に行く」と外に出ようとする
安全面でのリスクが高まるため、専門スタッフによる24時間の見守りが必要になります。
1-3. 介護者の限界
例:
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70代の父が90代の母を介護して腰を痛めた
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娘が夜間の介護で眠れず、職場でミスを連発
介護者が倒れてしまう前に、外部の力を借りる判断が重要です。
2. タイミングを判断するチェックリスト
以下の項目で3つ以上当てはまる場合、施設探しを始めるサインです。
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夜間の介護で睡眠不足が続いている
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転倒や怪我が増えた
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医師から「一人暮らしは危険」と言われた
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介護のために仕事を辞めることを考えている
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認知症の症状で安全管理が難しい
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介護サービスを最大限利用しても生活が回らない
3. 入居までの流れ(事例付き)
ステップ1:相談と情報収集
例:
神奈川県在住のAさん(長女)は、ケアマネジャーを通じて市役所と地域包括支援センターに相談。自宅近くの特別養護老人ホームと介護付き有料老人ホームを候補にリストアップしました。
ステップ2:施設見学
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スタッフの表情や入居者の様子を観察
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部屋の広さ、清掃状況、食事内容を確認
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イベントやレクリエーションの有無もチェック
ステップ3:費用試算
例:
介護付き有料老人ホーム
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入居一時金:50万円
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月額費用:約18万円(家賃・食費・介護費込み)
特養 -
入居一時金なし
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月額費用:約9万円(介護度による)
ステップ4:合意形成
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本人が嫌がる場合は「お試し入居」を提案
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医師やケアマネから説明してもらい、第三者の声を活用
ステップ5:契約・入居
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契約前に重要事項説明書を熟読
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生活用品や衣類を準備し、入居日を迎える
4. 施設の種類と選び方
特別養護老人ホーム(特養)
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費用が安いが待機者が多い
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要介護3以上が原則
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長期安定利用が可能
介護付き有料老人ホーム
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24時間介護スタッフ常駐
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医療ケア体制が充実
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費用は高め
サービス付き有料老人ホーム
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比較的自由度が高い
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サービスを外部事業者から選択可能
グループホーム
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認知症ケアに特化
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家庭的な少人数制
5. 入居を拒む場合の工夫
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「見学ついでにランチ」を口実に施設に行ってみる
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季節行事やイベントに招待する
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「一時的にお泊まり」と説明し、徐々に慣れてもらう
6. 実際の体験例
体験談①:一人暮らしの母をサービス付き高齢者向け住宅へ
「母が一人暮らしを続けていましたが、買い物や掃除が負担になってきていました。サービス付き高齢者向け住宅なら、見守りや生活相談のスタッフが常駐し、必要に応じて介護サービスも受けられると知り、入居を決断。母は同世代の入居者と一緒に体操やお茶会を楽しみ、以前よりも表情が明るくなりました。」(千葉県・60代女性)
体験談②:父のリハビリ目的で介護付き有料老人ホームへ
「脳梗塞後の後遺症で、父の歩行が不安定になりました。自宅でのリハビリには限界があり、介護付き有料老人ホームへ入居を決断。理学療法士による個別訓練を受けられ、半年後には杖で外出できるまで回復。父も『仲間と将棋を指すのが楽しみだ』と前向きになりました。」(東京都・50代男性)
体験談③:夫婦で住宅型有料老人ホームへ
「父と母の二人暮らしでしたが、食事の栄養バランスや薬の管理が心配でした。住宅型有料老人ホームなら夫婦で入居でき、必要な介護サービスは外部から選んで利用できると知り、決断。今は夫婦そろって趣味の園芸を楽しみながら、安心して生活しています。」(神奈川県・40代女性)
7. まとめ
施設入居は「家族の負担を減らすため」だけでなく、本人の安全と生活の質を守るための選択肢です。
早めの情報収集と準備が、納得できる決断につながります。
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