腎臓は、私たちの体の中で「血液をきれいにする」「尿を作る」「血圧を調整する」「体の水分量や塩分バランスを整える」など、非常に大切な役割を担っています。しかし、慢性腎臓病(CKD)や腎不全などによって腎臓の働きが大きく低下すると、体の機能を維持するために「人工透析」が必要となる場合があります。
本記事では、
・人工透析が必要になるサイン
・透析治療がどこで受けられるのか
・透析の種類と生活への影響
を、日本人の生活に寄り添いながら、わかりやすく丁寧に解説します。
1. 人工透析とは何か?
人工透析(透析治療)とは、本来腎臓が行っている仕事を機械で代わりに行う治療のことです。血液中に溜まった老廃物や余分な水分を除去し、体内のバランスを整えることで、生命維持を可能にします。
腎臓の働きが正常の15%以下になると、体にさまざまな支障が出始め、透析導入を検討する段階になります。
2. 人工透析が必要になる主なサイン
腎臓の機能が落ちると、初期は症状がほとんど現れません。しかし、悪化すると日常生活で次のような変化を感じることがあります。
① むくみが悪化する
腎臓は水分調整をしているため、働きが低下すると足・顔・手などにむくみが現れます。靴がきつくなったり、朝起きるとまぶたが腫れていると感じる人もいます。
② 尿の量や色に変化が出る
・尿が極端に少なくなる
・色が濃くなる
・泡立ちが増える(タンパク尿の可能性)
などは腎機能低下のサインです。
③ 倦怠感(だるさ)の増加
老廃物が体に溜まることで、慢性的な疲労感が抜けなくなります。「よく寝ても疲れが取れない」と感じる人は注意が必要です。
④ 息切れや動悸
余分な水分が体に溜まり、肺や心臓に負担がかかると息苦しさが出ることがあります。
⑤ 食欲不振や吐き気
尿毒症の症状のひとつで、腎機能の重度低下を示すことがあります。
⑥ 貧血が進行する
腎臓が造血ホルモンを作れなくなるため、貧血が起こりやすくなります。立ちくらみや疲れやすさが増すのが特徴です。
3. 透析導入の基準はどのように決まる?
医師は以下を総合的に判断し、透析導入を判断します。
✔ eGFR(腎機能を示す値)が極端に低下している
一般に eGFR 15 以下で透析導入が検討されます。
✔ 血液検査でカリウム・尿素窒素・クレアチニンが高値
✔ むくみ・息苦しさ・吐き気などの症状が強い
✔ 水分管理ができず、心不全リスクが高い
※腎機能低下があっても、症状が軽い場合はすぐに透析になるわけではありません。
日本では患者ごとに慎重に判断され、生活状況や合併症も考慮して導入が決められます。
4. 人工透析はどこで受けられる?
日本での透析治療は、次のような場所で受けることができます。
① 透析クリニック(透析専門施設)
最も一般的で、全国各地にあり通院しやすいのが特徴です。地域密着型で、スタッフによるサポート体制が整っています。
② 総合病院・大学病院の腎臓内科/人工透析室
合併症が多い方や、より高度な医療が必要なケースでは病院での透析が選ばれます。入院が必要な透析導入は病院で行われることが多いです。
③ 在宅透析(腹膜透析・在宅血液透析)
医療チームの指導のもと、家でできる透析もあります。
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腹膜透析(PD):自宅で袋の交換を行う
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在宅血液透析(HHD):訓練後、自宅で血液透析を行う
仕事や家事との両立をしやすい反面、セルフケア能力が必要なため、医師や看護師と相談のうえ選択します。
5. 透析の種類と特徴
① 血液透析(HD)
日本で最も一般的な方法。
透析機械に血液を通して老廃物と余分な水分を除去します。
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通常は週3回、1回4時間ほど
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透析クリニックに通う必要がある
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体調管理や食事制限が比較的厳しめ
② 腹膜透析(PD)
自分の腹膜を使って老廃物を除去する方式。
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自宅でできる
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食事制限が比較的ゆるい
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感染症(腹膜炎)のリスクあり
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定期的な通院は必要
③ 在宅血液透析(HHD)
血液透析を自宅で行うタイプ。
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病院に通う回数が少ない
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専門的な訓練と設備が必要
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家族の協力が必要な場合も
6. 透析治療を始めた後の生活はどう変わる?
透析を始めても、適切に体調を管理すれば、多くの方が日常生活を維持できます。
✔ 食事管理が必要
特に塩分・水分・カリウム・リンの制限が重要です。
✔ 定期的な通院が必要
血液透析なら週3回の通院が基本となります。
✔ 仕事・旅行も可能
勤めながら透析を受けている人は大勢います。
旅行先で透析を受ける「旅行透析」も予約すれば可能です。
7. 透析を避けるためにできること
透析が必要になる前に腎臓を守ることも非常に重要です。
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減塩(1日6g未満が推奨)
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糖尿病・高血圧の適切な治療
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体重管理
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薬剤性腎障害の予防
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定期的な健康診断(尿検査・血液検査)
早期発見・早期対策が、透析を遅らせる最も効果的な方法です。
まとめ:症状のサインに気づき、適切な医療につなげよう
人工透析は「いきなり始まる治療」ではなく、長い腎臓病の経過の中で慎重に判断されます。
むくみ、息切れ、尿の変化、倦怠感など、日常の小さなサインも見逃さず、早めに医療機関で相談することが大切です。透析は適切に行えば、多くの人が仕事や趣味を続けながら生活できます。
腎臓は沈黙の臓器と言われます。気になる症状があるときは、ぜひ早めの受診を心がけてください。
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